こだわり自慢  ホームへ戻る

百姓であれば、一つや二つ、こだわりあって作ってるはず。
百姓にマニュアルなし、こだわりが大切と思います。私のこだわりを紹介します。

その1  農薬について                                                                       

 最近無農薬ナントカという農産物を目にします。消費者の方々は農薬を使ってないもの、極力農薬の使用を控えたものが安全だ、という認識でないでしょうか。たしかに農薬は使わず済めば、それにこしたことはありません。口に入る物ですし、農薬を使わなければ最高です。我々農家も使わなければコストを低く抑えられますし、なによりも安全な食料を供給することが我々の使命だと思ってます。

 しかし農薬を使わなければどうなるでしょうか?百年前の農業に逆戻りしてしまいませんでしょうか。寒い夏だと言っては神に頼み、虫が出たと言っては神頼み、草は手で取る、科学の進んだ現在でこれでいいのでしょうか。

 米作りに無農薬は至難の業です。病気や害虫は、稲体の強化や作付けの時期ずらしで、なんとか対応出来ますが、雑草だけはどうにもなりません。稲よりも雑草のほうが生命力が強いのです。紙マルチ田植え、液体マルチ、合鴨農法、EMを利用した米ぬか除草等,さまざま試行しましたたが効果、採算性に合うのは今のところありません。個人消費であれば可能ですが、大勢のお客様に潤沢に提供するには無理があります。

 そこで私の米は、除草剤を一回だけ使用しています。他種子消毒から病害虫にいたる防除はEMと木酢液で対応しております。除草剤以外一切農薬は使用しておりません。これは病害虫にかなり無防備と言えます。毎年梅雨が明ける時期と、出穂の時期が何時かでヒヤヒヤものです。

 もちろん、除草剤までも使わない稲作に挑戦し、毎年試行しているのは言うまでもありません。


その2  有機について

 有機米、有機野菜が今の流行と言うか、美味しい代名詞のようになっています。有機肥料の元祖(今でも最高の有機肥料)は堆肥です。牛糞や豚糞を稲藁や籾殻、木の引き屑と混ぜて発酵させたもので、今でも多くの農家が使っています。昔は人糞も使っていましたが、今はほとんどありません。

 完熟(発酵が終わった)した堆肥は肥料成分は多くありませんが、一種の磁性体のような働きがあり、肥料成分を引き付けておく働きがあります。難しい言葉で陽イオン置換容量が多い(CEC容量、単位meq)といいます。

 堆肥を毎年圃場へ投入していくと、土は肥料分を蓄えておく力が増えていきます。このような圃場は土が肥えているといいます。反対に土が痩せているというのは肥料分を蓄えておく力が無いことをいいます。堆肥は土への貯金だと思えばいいのでしょう。

 さて、有機で作るとなぜ作物は美味くなるのか?とよく言われますが、私ははっきりこうだと言う説明は出来ません(分からないことが多い)。しかし有機肥料で栽培すると、肥効(肥料の効き方)がゆっくりです。化学肥料はすぐ効いてきますが、有機肥料はじわじわ効いてきます。化学肥料はすぐ根から吸収されますが、有機肥料は土に蓄えられている貯金のような肥料をじわじわ吸収するからだと思います。

 そのため有機肥料栽培は化学肥料栽培より生育が遅いです。稲作ではこれが良いと思っています。その理由として、生育が遅ければ遅く穂が出る、そうなるとカメ虫などの害虫より免れることが出来る。稲の生理にあわせて吸収するので肥料の効きすぎがなく、冷夏などのアクシデントによるイモチ病の発生が少ない。じわじわ吸収するので、籾内への余分なタンパク質の蓄積が少ない(食味向上)、などです。有機栽培と農薬使用はセットで考えると、農薬はかなり減らせると思います。

 問題点は、化学肥料より量を多く散布しなければならない(肥料成分が少ない)。どんな種類をどれだけ散布するか経験がないと分からない。時期はずれに効き出すことがある。市販の有機肥料は汚泥などを混ぜている場合があるので、重金属などの汚染の心配がある、などです。


その3  自家用、販売用について

 この圃場の米は良く出来たから自家用にしよう、この圃場は自家用だから農薬散布するのやめよう。という声を耳にします、何か変だと思います。自分が食べるものは安全な物で、よそ様に食べてもらう物は安全でなくてもいいのか?という疑問が出ます。

 少なからず、このような考えの方々がいるのは事実のようです。このような考えの方々は産直をやる資格が無いと思います。 

 顔が分かる、食べる人が分かる産直においては、自家用と同じもの、それ以上のものを販売する義務があるはずですし、それが良識というものだと思います。最近大手食品メーカーの不祥事が相次ぎ、一部の果物農家でも使用禁止の農薬を使って、販売禁止になっています。このことは、全て消費者を裏切る行為であり、同じ農家として残念でなりません。

 私は、私が食べている米と同じものを皆さんに提供してますし、表示以外の農薬などは使用しておりません。これは信頼していただくほかありませんが、あまりにも多くの不祥事が目につくので書かせていただきました。


その4  ポストハーベスト

 米を保管しておくと虫がわくことがあります。特に6月から8月にかけての夏の時期、それも梅雨の時期に発生します。お客様に虫のついた米を食べていただきたくないので、保管は専用大型冷蔵庫で保管しております。中は常に12℃に保たれていますし、密閉してますので、虫やネズミに侵されることはありません。また低温保管でいつまでも新米の味を保つことが出来ます。

 しかし、精米後、又は、お客様の手に渡ってから常温で長く経つと虫が発生する事があります。特にコクゾウムシという蟻くらいの大きさの虫は厄介者です。これを発生させないのは簡単です。ポストハーベストをしてやればいいのです。(ポストハーベストとは米の収穫後、虫がわかないよう農薬をかけること)しかし、これを私はしたくありません。せっかく農薬を控え、有機栽培で育てて収穫した米を、収穫後に農薬をかけては何にもなりません。栽培の過程で使用基準を守っても、収穫後農薬をかけては、何もなりませんし、消費者を欺くことになります。

 私の米は収穫後、冷蔵庫で保管してますが、ポストハーベストは一切しておりません。その代り夏季(梅雨の時期)虫が発生する事があるかも知れません。その対処方法として、冷暗所での保管をお勧めいたします。一番良いのは家庭の冷蔵庫です。もし虫が発生することがあるかも知れませんが、ポストハーベストしてないためですので、ご容赦下さい。もし、虫がいたとしても、米を研ぐとき捨ててしまえば、味、品質、健康にまったく問題ありません。



そうえん農場は北越後、新発田市に米作りをしている百姓です
新発田市は食と農の資源循環型社会づくりに取り組んでいます
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