その51  祖母の教えと自然保護 08.6.23
                                         目次へ戻る
 今年も蛍が舞う季節になりました。
 我家の前の小川には毎年多くの蛍が舞い、集落の方々を楽しませてくれます。これは蛍が羽化してから産卵するまでの間、草刈りをしない、除草剤を撒かないなど、集落ぐるみでの保護活動の成果だと思っています。

 蛍はよく観察すると草むらで光っているもの、飛びながら光っているもの、二種類に分かれます。草むらに光っているものが雌で、飛びながら光っているものが雄です。お互い光合い、意気投合すると雄は雌めがけて急降下し交尾を行います。この雄が急降下する様が「火が垂れる」ように見えることから「火が垂る→ほたる」となったという説があります。

 昔私がまだ小さい頃、祖母に連れられて蛍を見に行ったものです。その時祖母は、「飛んでる蛍は捕まえてもいいが、草むらに光ってる蛍は捕まえてはダメだ。」と言われたことが今でも覚えています。理由は、草むらの光はマムシの眼が光ってることがある、蛍と思い捕まえるとマムシに噛まれるかもしれない、だから草むらの蛍は捕まえるな、ということでした。
 今思えば来年も舞ってくれる蛍のため、産卵が終るまで雌は捕まえるな、ということをマムシの眼に置き換えて子供を怖がらせ、蛍を守っていたのだと関心します。

 全く理にかなった、昔ながらの自然保護ではないでしょうか。そのように教えられた私は、子供にも同じことを言ってきました。先日、セガレ夫婦と子供(孫)で蛍を見ているとき、セガレが「草むらの蛍を捕まえてはダメ」と孫に言ってるのを聞き、祖母が教えた蛍保護の方法を世代を越えて受け継がれていることに嬉しくなり、ホッと心温まる蛍見物なのでした。